テンシンアパートの管理人。昇とは幼馴染の親友と言っているが、昇は覚えていない。借金取りから逃げてきた昇を助け匿うが、天使突抜六丁目の在り様の異様さに固執する。飄々とした中に時折歪んだ精神を垣間見せる。
1979年、神奈川県生まれ。『マイ・バック・ページ』(11年/山下敦弘監督)、『CUT』(12年公開予定/アミール・ナデリ監督)に出演。また、演遊園地再生事業団#14「トーキョーボディ」(演出:宮沢章夫)、「舞台版・中学生日記」(演出:山下敦弘)などの舞台出演もある。
借金取立てのヤクザ。昇が務めていた配管工場へ取り立てに行くが、社長に夜逃げされ、たまたまそこに居合わせた昇を追いかけるが、黒社会の人間はなぜか天使突抜六丁目に立ち入ることが出来ないのだった。しかし、しかし、その念力は後々までも昇を精神的に苦しめることになる。
舞踏家、土方巽に師事をしながら唐十郎とともに劇団状況劇場を設立。1972年、大駱駝艦を旗揚げ。国内外で大きな話題となる。大島渚『新宿泥棒日記』、鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』、石井聰互『爆裂都市 BURST CITY』、阪本順治『どついたるねん』など、数々の重要作を皮切りに、多くの日本映画で強烈な存在感を示し続けている。2011年は実子・大森立嗣監督の『まほろ駅前多田便利軒』にも出演し話題となった。2006年文化庁長官表彰受賞。
昇が転がり込むテンシンアパートの住人。暴力的な旦那から逃れ、この地に身を隠しているという。背中に奇妙な突起物があり、やがてそれが羽となって、この町から逃げ出せるとみゆきは信じている。山の向こうから天使突抜六丁目にやって来た昇に興味を抱く。
1982年、福島県生まれ。女優として映画を中心に活動。映画『アキレスと亀』(08年/北野武監督)、『パレード』(10年/行定勲監督)、『冷たい熱帯魚』(10年/園子温監督)などへの出演で、印象的なアピアランスをみせる。とくに『パンドラの匣』(09年)、『シャーリーの転落人生』(08年)、相対性理論「地獄先生」のPV(09年)など、冨永昌敬監督作品に多数出演。本作の主演により、さらなる魅力が開花した期待の映画女優である。
連れ合いを亡くしてから、アパートの廊下を徘徊するようになったテンシンアパートの住人。たびたび昇に奇妙な忠告を囁き、みゆきのことを「盗人」と忌み嫌っている。時折、実体と幽体が入れ替わるような異変を見せる。アパートの庭でおばけキュウリを育てるのが生きがい。
今は亡き寺山修司の主宰した「演劇実験室天井桟敷」に所属。「冥府の三叉路」で手鞠をつくセーラー服の老女を演じ、評判になる。現在はフリー。主な出演作品は、『奴婢訓』『レミング』蜷川幸雄演出の『身毒丸』など舞台の他、映画では、『田園に死す』『ボクサー』『草迷宮』『さらば箱舟』など。1994年にCD「惜春鳥ー寺山修司に捧ぐ」を発売。
飄々とした好々爺な表情の裡に不気味さを湛え、天使突抜六丁目を訪れる老人。年の離れた妻のみゆきに躊躇なく暴力を振るう。みゆきの居場所を突き止め、テンシンアパートにやってきてみゆきを折檻しているところを、昇がたちはだかる。
漫才コンビ「青空はるお・あきお」として人気を博した後、俳優として数多くのテレビドラマに出演。主な出演作品に『炎立つ』、『ちゅらさん』、『命の旅路』、『魔女裁判』(以上ドラマ)、『ヒミツの花園』、『チームバチスタの栄光』、『20世紀少年 第一章』『おとうと』(以上映画)など多数。
借金取立てのヤクザ。赤鬼の舎弟。巨体だが頭は悪く、どんくさい。いつも赤鬼に怒鳴られている。
その独特な長身の容貌で、『メイド刑事』、『サラリーマン金太郎』、『有閑倶楽部』、『スケバン刑事』、『風林火山』(NHK大河ドラマ)、『刺客請負人』(以上ドラマ)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『富江vs富江』、『GANTZ』の親ネギ星人役(以上映画)など多数のドラマ、映画、舞台で活躍
警官隊を引き連れ、天使突抜六丁目で起きた怪事件の捜査を指揮する刑事長。「信じられない…まさかこの街で事件が起こるとは…」と重々しく語りながら捜査の手を進める。
1957年、劇団くるみ座に入団。『ベニスの商人』などの舞台に出演する一方、1965年、『新選組血風録』(NET・現テレビ朝日)で土方歳三役を演じ好評を博す。以後『燃えよ剣』(70年)など数々のTV時代劇作品に出演し、“テレビ時代劇史上で欠かすことの出来ない存在”となる。NHK大河ドラマ『新選組!』に土方歳三の兄役で出演。2005年、映画『二人日和』(共演・藤村志保)にて【第5回ニッポン・コネクション】グランプリを受賞。京都市在住。
磯尻刑事長(栗塚旭)の忠実なる部下。この街に赴任して以来初の事件出動に意気込む。
舞踏家。関西各所でのストリート舞踏を中心に活動。関西野外演劇の雄・犯罪友の会本公演に複数出演、映画『デストロイ ヴィシャス』(島田角栄監督)、『にくめ、ハレルヤ!』(板倉善之監督)など関西の若手作家の作品にも精力的に出演。山田雅史監督作品には、PFFトレーラー作品『ボスのいちばん長い日』シリーズ(06、07年)に出演。本作でもそれを踏襲したような刑事役で登場する。
会社や同僚の警備員からも信頼を得ているベテラン警備員。杉本とは正反対の柔軟な人物。昇の事を気に入り現場を任せるようになるが、それがやがて大きな事故へと繋がてしまう。
日本大学芸術部在学中に劇団「転倒虫」を主宰。1974年~1983年まで、故・寺山修司率いる「演劇実験室天井桟敷」に所属。2008年から画家としての活動を開始。主な舞台作品は『青森県のせむし男』、『NINAGAWAマクベス』、『新・雨月物語』、『阿OKUNI国』、『毛皮のマリー』等。また、『草迷宮』(寺山修司監督)等の映画にも出演。『エンジェルダスト』(石井聰亙監督)で高崎映画祭・最優秀助演男優賞を受賞。
天使突抜六丁目で昇が職を得る警備会社「セフティ」のデスク担当。隊員のシフトを管理し、不可解な笑みとともに意味深な人員配置を行う事務員。いつも笑顔だが、都合の悪いことは聞こえない。
落語家。1977年6月、上方落語の桂枝雀に入門。関西のお茶の間、寄席では誰もが知る人気者。壮絶な自身の半生を書き下ろした著書「必死のパッチ」(幻冬舎)が話題に。シマフィルム『かぞくのひけつ』(06年)への主演を契機に、『堀川中立売』(10年)につづき、本作にも続投と相成った。
ベテラン警備員。昇のよき上司となるが、頭が固く他の警備員からは疎まれている。化石を集めるのが趣味で、家には沢山の化石コレクションがある。その中で杉本がもっとも大事にしているノジュール(外見はただの丸い石に見える)には、天使の羽の化石が入っているという。
1948年、東京生まれ。自由劇場を経て、1976年劇団東京乾電池を結成。『ヒポクラテスたち』、『セーラー服と機関銃』、『シコふんじゃった』、『ニワトリはハダシだ』『座頭市』など、時代を代表する日本映画には常にその姿を見ることができる。1992年、相米慎二の薦めから『空がこんなに青いわけがない』を初監督。1998年『カンゾー先生』にて、各映画賞を総なめにする。柄本佑、柄本時生の息子2人も俳優として活躍。2010年には『ヘブンズ ストーリー』『春との旅』『悪人』など12本の映画に出演、2011年春に紫綬褒章を受章。