12月9日、山田監督による『天使突抜六丁目』関西公開PR・大阪行脚を敢行いたしました。大阪は山田監督が長く青春時代を過ごした場所。その道程を辿るように、山田監督と大阪の各所を巡りました。
今回はそのレポートを、少し(かなり)長めにやってしまいます。
どうぞじっくりとお読みください!
まずは12/17から本作が公開される梅田ガーデンシネマさんにご挨拶。エントランス前のフロア真ん前に、本作の展示コーナーでポスター・チラシとともに、山田監督のイラストストーリーがパネル展示されています!
「ここに黒沢清監督の『ドッペルゲンガー』を観に来て、舞台挨拶に来ていた黒沢監督に質問したことがあったなぁ」
と、山田監督のさりげない述懐。先日K’s cinemaで黒沢監督をお招きして『天使突抜六丁目』のトークをしたことも、山田監督にとっては、ひとつの大きな通過儀礼のようなものだったのかもしれません。
これからお世話になるご挨拶を済ませ、向かうは曽根崎のビジュアルアーツ専門学校・大阪。山田監督はここで映画のことを学び、仲間と出会ったのですね。
今回は、学期最後の授業(1、2回生合同授業)で、山田監督の特別講義を開いていただきました。
お相手は学科長のとしおかたかお先生。長年ビジュアルアーツ専門学校・大阪で教鞭をとり、後進の指導にあたっておられます。『パラダイスビュー』などの高嶺剛監督作品、『魂遊び ほうこう』『愛なくして』等、高林陽一監督作品の撮影などを務められ、長編作品『-less』を自ら監督もされています。その快活なキャラクターは、山田監督が在学当時も今現在も変わらず、だそうです。
かつて、としおか先生や有志と共に「東京シネマジャック」という上映団体をやっていたというお話が語られ、50名ほどの若い学生さんがじっと見守る前で多少緊張気味だった山田監督も、徐々に語りに調子が乗ってまいります。『天使突抜六丁目』には、山田監督同様、ビジュアルアーツ出身のスタッフが多く制作に参加しています。そのひとりひとりのこともしっかりと紹介する としおか先生と山田監督。そう。映画はチームで作るものなんですね。
独特な関西ノリで学生さんたちに「君たちはこの『天使突抜六丁目』、映画館に観に行かなアカンで!それで周りの人も連れていって劇場をいっぱいにしなアカンで!それができなかったら、君たちが活躍できる映画なんてモンが続いていかないんやから!」と檄(ゲキ)を飛ばすとしおか先生の力強いお言葉で、授業は無事終了。
その後、フロアで学生さんたちと話す山田監督。
後輩との貴重な交流の時間です。
そして、かつて授業を受けていた教室にも。
「変わってないなぁ」とあれこれ記憶が蘇ってきた様子の山田監督。
さいごに記念写真。
ちょっと左サイドが空いてるのは、後ろの銅像さんも思わず入れてしまったためです。。監督の母校来訪記念なので、ついついここにしかないものをフレームインさせてしまいました。(「ビジュアルアーツ」さんなのにきっちりした写真撮れなくてスミマセン。。)
どんどん浮かんでくる記憶に後ろ髪をひかれつつ、ビジュアルアーツ専門学校・大阪を出まして、お次は“天六”(天六いうたら「天神橋筋六丁目」です。『天使突抜六丁目』ではありません。)近くの中崎町、プラネット+1へ移動。
ここでは、CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)特別ワークショップで山田監督をお招きいただきました。
プラネット+1は、関西のインディペンデント映画の地下アジトとも言うべき存在で、日々古今東西のフィルム・映画作品を上映し、多くの映画人の活動や交流のプラットフォームで在り続けています。熊切和嘉監督(『鬼畜大宴会』)、山下敦弘監督(『ばかのハコ船』)や、現在第一線で活躍する映画人の方々が、若き日の活動をこの場所で行ない、山田監督も、ここで何度も自作を上映してきました。
そして「CO2」は、2005年に発足した大阪市の若手映画人育成事業。その第1回CO2で、山田監督は制作企画を提出し、CO2助成作品を制作しました。今回はその助成作品『堤防は洪水を待っている』の上映と、山田監督のトーク。CO2ワークショップ参加生の方々を前に、プラネット+1のボス、現在のCO2総合プロデューサー富岡邦彦さんが山田監督のお相手をしてくださいます。山田監督と富岡さんも、もう十年以上の付き合いになる間柄。それでも、これから映画を志してゆくワークショップ生の方々に向けて、今この時の糧になるように、話をじっくりとしていきます。
そして、『堤防は洪水を待っている』上映後は、前回のCO2助成作品『神世界の夜明け』を監督し、いまプラネット+1で『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』をレイトショー上映していたリム・カーウァイ監督がトークに加わり、さらに深く熱い内容になってゆきます。現在、CO2企画制作の選考に携わる山田監督は、マレーシア、中国、日本を往還しながら映画を制作し続けるリム・カーウァイ監督の『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』を独自の視点で語り、リム・カーウァイ監督も『堤防は洪水を待っている』を傑作と声高に宣言し、『天使突抜六丁目』の長編映画におけるドラマの組み込みなどについて語る、という内容となりました。
…そして、いよいよ大阪の夜は更け、天神橋筋界隈で打ち上げ。『天使突抜六丁目』ラインプロデューサーの菊池さん、刑事役で出演している谷口さんらも合流し、これから関西で上映が始まる本作の展開を語らい合いました。さらにリム・カーウァイ監督らも交え、話題は尽きねど、山田監督はまだまだ帰りません。
深夜、終電もない時間になったあたりで、「これから知り合いのところなんかを、チラシを持ってまわります。」という言葉を残し、大阪の闇へ溶け込んでいきました。
さて、いよいよ12月17日より、大阪公開が始まります。
初日には舞台挨拶あり! どうぞ皆さま、梅田ガーデンシネマへお集まりください!
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